《MUMEI》

「実は…愛加ちゃんが見た写真の彼女は随分前に亡くなってるんだ」


「えっ!?じゃぁ…」


鎌倉に行った人は…


越智さんは驚いた私を「まぁまぁ聞いて」と制した。
そして彼女の話を進める。


「彼女はケンカして飛び出した佐久間を追いかけ事故に合ったんだ…佐久間の目の前だったらしいよ」


目の前で…


「運が悪かったんだよ…。だけど佐久間は自分のせいだって…俺たちも何て声をかけたらいいか分からなかったよ」


越智さんは少し視線を外に向けて、


「彼女の四十九日が過ぎたくらいだったかなぁ…」


あまり定かでない記憶を手繰り寄せる。


「学校に『佐久間は人殺しだ』って貼り紙や、とにかく嫌がらせが始まって…」

「その犯人って…」


「愛加ちゃんを襲った犯人と一緒かもね…」


そういえば刑事さんが昔にも一度って…


「ただでさえ傷ついてる佐久間には傷口に塩を塗られるようなもんでさ。それ以来『俺は幸せになっちゃいけないんだ』って、自分を責め続けてたよ…愛加ちゃんに会うまで…」


私に会うまで…?

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