《MUMEI》

それから、私は俊彦に、琴子は和馬に連れられ、同じソファーに座った。


ハイウエストの位置にある黒いリボンが印象的なグレーのウール素材のワンピースに、黒いストッキングを合わせた琴子には、ニーハイブーツが


チェック柄のチュニックにスキニージーンズを合わせた私には、ショートブーツが


それぞれいくつか並べられた。


琴子のブーツは、凝ったデザインのものばかりで


私のブーツはシンプルで歩きやすそうなデザイン…


(あれ?)


一足だけ、足首部分にファーが付いているショートブーツがあった。


私好みの可愛いデザインだが…


『冬の配達にも、履けるブーツを』と言う私の希望からは逸れているような気がした。


すると、俊彦はニッコリと微笑んで


「こちらは、取り外し可能となっております」


そう言って、ファーを外して見せた。


たったそれだけなのに、シンプルなデザインに見えるから、不思議だ。


「こちらで、よろしい…ですね?」


俊彦の言葉に、私はコクリと頷いた。


「では、失礼致します」


そう言って、履かせてくれたブーツは私にピッタリだった。


「店長、お願いします」


「はいはい」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫