《MUMEI》 「ちゃ〜す!!」 「おっす翔太!!」 「早いすね。」 「つっても今来たとこだけどね。入るか。」 「そうすね。」 クロさんとヤマトさん。 この前の練習の後、ケンカしたんじゃないかって心配だったけど、いつも通りだ。 海南高校の体育館。 練習で来たことはあったけど、入るのは久しぶりだった。 中に入った。 まだ高校生が練習してる。 (こいつら…) 海南高校が強豪なのは言うまでもない。 でも… 練習風景を見るだけで、こいつらが強い理由がわかる。 弱いとこはタラタラやってるし、強いとこは気迫や熱気といったものが全然違う。 特に声でわかる。 辛い時に声を出すことができるチームはそれだけでメンタル面の強さの証明となるだろう。 メンタル面の強さは、練習に耐える強さ、試合でのここ一番の粘り。 そういった物に繋がる。 強いチームの第一条件が、声出しと言ってもいいだろう。 「凄いすね、こいつら…」 「ん…あぁ、赤高と比べればね。僕も初めて来たときビックリしたわ。」 「クロ!!」 恭介さんだ。 「もうこいつらの練習終わるから。早く準備して。」 「あ、わかった。」 「お!!ヤマトと翔太も来たんだ。あっちで着替えれるから。」 「あ、ども。」 敵だったチームとこんな普通に話すってのも変な感じだな。 てか、クロさんと恭介さんも、険悪だったのに普通だな。 やっぱクロさんてそういうとこ凄いよな。 一瞬ケンカしても、すぐ仲直りする。 俺にはない特技だな。 「翔太〜。早くしろ〜。」 「あっ、はい!!」 前へ |次へ |
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