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《MUMEI》 「あのコンパ、本当は他の奴が来る予定だったんだけど、そいつ急用で来れなくなっちゃって･･･」 「それで佐久間さんが？」 越智さんは「そうそう」と言いながら、何を思い出したのか突然笑い出した。 「そういえば、あいつ『ブッダ』って呼ばれるくらいの禁欲生活を何年も送っててさぁ、だから声かけても無理だろうって言いつつダメ元で声かけたんだよ」 越智さんは楽しそうに喋り続ける。 「そしたら意外にも来るって言うからさぁ、俺すっげぇ不思議で聞いたんだよ。そしたら、あいつ何て言ったと思う？」 「うーん。なんだろ？」 私が真剣に考えているのに越智さんは我慢できなかったのか、答えを言う。 「夢を見たって！ありえないだろっ？？夢だぜ!?」 越智さんのテンションは最高潮なのか一人で大爆笑… 「それまでどんだけ誘っても女のいる飲み会には来なかった奴が、夢を見たくらいで来るって言うんだぜ。高橋と『とうとうブッダが悟りを開いた』って大笑いしてさぁ〜」 越智さんはヒィヒィ言いながら一人で笑い、たいして面白く感じない私は越智さんを冷静な目で見る。 その私の視線に気づいたのか、越智さんも少し落ち着きを取り戻し、 「ま、それで愛加ちゃんと知り合って佐久間は本当に変わったよ。明るくなったし、会えば愛加ちゃんの話しかしないし…。幸せそうだったよ。だから高橋と応援しないとなって言ってたんだ」 それでサポーターって… そして越智さんは独り言のように、 「きっと、何年かぶりに生きてることを実感したんだろうな･･･あいつ」 と呟いた。 前へ |次へ |
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