《MUMEI》 海南高校も赤高と同じように、校内は禁煙らしい。 俺はタバコ吸わないけど、ヤマトさんとクロさんに合わせて校外でだべる。 つか、この人たち喫煙者の癖にあんだけ走れんのかよ!! すげ〜な。 「あ、そういえばさ、恭介。」 クロさんが話し始めた。 「僕、赤高のコーチやることにしたわ。」 は!? 「マジすかクロさん!?」 「マジだよ。」 「やっぱな。海南は辞めないしょ?」 「うん。辞めない。」 何で? 何でこんなに普通なんだこの人たち… 俺だけが驚いていた。 「何で引き受けることにしたんですか?」 平静を装いながら聞いた。 「指導者がいない状況で部活やるなんて酷だろ。素人だらけのチームなら特に。」 この前と言ってることが違う… 何でだよ。 「まぁ、僕経験浅いけど、形だけの顧問だけよりいないよりマシでしょ。」 「…そうですね。」 クロさんがコーチ。 別に反対する理由なんてない。 でも何でだろ? 嫌だな。 『何で?』 その言葉が色んな形で頭の中を駆け巡っていた。 前へ |次へ |
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