《MUMEI》

咲子さんの言葉に、俊彦は慌てて工藤一家の荷物を持って、バスの荷物入れに運んだ。


それから、結子さんと、何故か大荷物を抱えた雅彦がやってきた。


(朝食用の、弁当も、飲み物もあるのに…)


私が気になって雅彦に中身を訊くと、結子さんが『着いてからのお楽しみ』と言って笑った。


続いて現れた愛理さんは、若い男女を連れてやってきた。


「こちらは?」


「あ、蝶子は初めてだったわね。

いとこの有理(ゆうり)と理美(さとみ)よ」


「「はじめまして」」


「あ、はじめまして」


私は二人に頭を下げた。


有理さんと理美さんは、言われてみれば確かに愛理さんに似ていた。


「有理はビーズ職人で、うちにも納品によく来るの。
理美はネイリストで、うちに置いてあるネイルを一緒に選んでくれてるし、余ったネイルを仕事で使ってくれるの」


「そうなんですか」


「「そうなんです」」


二人はまた声を揃えた。


「有理は蝶子と同い年で、理美は一つ年下なの。

…私だけ彼氏連れて来れないから、せめて可愛いいとこを連れて来たの」


(そっか…)


愛理さんの恋人の相田さんは高校教師だから、今回は不参加だった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫