《MUMEI》 土曜日。 卒業式に予行練習なんていらないだろ。 「古田。明日はその髪切って来いよ。」 「…」 無視。 どうせ明後日からこの学校の生徒じゃなくなる。 明日1日のために、髪切るなんてごめんだ。 (親がいないからあんな子になるんだ。) 先生たちが話す。 わざと、俺に聞こえるように言ってんのか? 親がいないから? 違う。 親がいたから大人が嫌いになったんだ。 「…死ね。」 何で俺の周りには、こんな大人しかいないんだ? 親と離れて暮らしても、3年間もこんな教師の下で学校行ってた自分がアホくさくなる。 … (…何で学校行ってたのかな?) 俺が学校に行ってた理由か… 答えは、すぐ見つかった。 俺はハンドボールがやりたかったんだ。 ずっとハンドボールをやってた。 部員は皆いいやつだった。 …クロさん。 俺はこの学校が嫌いだ。 だからクロさんがハンド部のコーチやるっていうのが嫌だったんだ。 でも… 俺クロさんのことは尊敬してますよ。 「じゃあ明日は時間厳守で来るように。」 …卒業か。 前へ |次へ |
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