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《MUMEI》 現実千尋は17歳。高校生だ。若干寝不足気味の顔でダイニングに行くと、母が朝食の用意をしていた。 「おはよう。また眠れなかったの?」 母の言葉に千尋は視線をそらして頷いた。毎朝同じ言葉。同じやり取り。千尋は、もういい加減放っておいてほしかった。母が次の言葉をかけようとした時、兄の聡が入って来て 「千尋、おまえ今日日直って言ってなかったか?早く行かなくていいのか?」 「あ…うん。行かなきゃ」 お弁当を手に取り、母の言葉を振り切るように千尋は玄関を飛び出した。 少し後を追うように聡が出て来た。 「ありがと、お兄ちゃん」 「あ?ああ。毎朝飽きただろ。」 二人は並んで歩いていた。 「心配してくれるのは嬉しいけど…ね」 「また大和の夢見たんだろ」 千尋は視線を落としたまま頷いた。 「俺も時々夢に見るよ」 千尋は視線を落としたまま歩いてる。 兄、聡と大和は友人だった。誰にも言えないようなことも言い合える親友だった。兄の紹介で千尋は大和と付き合うことになったのだ。それ故千尋は大和を亡くした聡の気持ちを、聡は恋しい人を亡くした千尋の気持ちがよくわかった。二人は言葉少なに学校へ歩を進めた。 前へ |次へ |
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