《MUMEI》
落ち着く
   〜麗羅視点〜


廊下をスタスタと歩いて行き階段を上って行く。


目的の場所に着き、ドアを開けると暖かい日差しに包まれて少女が座って居た。


ドアを静かに閉め少女に歩み寄る。


「真星・・・?トイレに行ったんじゃ・・・・」


そこまで言って、私は言葉を失う。振り向いた少女――真星の頬には涙らしきものが通った跡があったから。


「あっごめ・・・何でもないよ!大丈夫だから」


真星は急いで頬を拭った。


私は、真星の隣に腰を下ろし


「真星が言いたくないなら聞かないから・・・ここに居ていい?」


っと控えめに質問する。


真星は一瞬驚いた後、先程拭ったであろうものを再び流し始めた。


私は、微笑み真星の頭をぽんぽんと優しく撫で、屋上から見える景色に目をやった。


何分かすると真星も落ち着いたようで鼻をすする音は聞こえなくなっていた。


何か会話をする訳ではなかったが真星の隣に居るのは落ち着く。


静かな空気の中、朝のホームルームの始まりを知らせるチャイムが鳴り響いた。


「真星どうする?教室戻る??」

っと私が質問すると、真星は首をコテンと傾け私の肩に顔を乗せた。


「もう少しここに居てもいい?一限には出るから・・・。


麗羅と居ると落ち着く。まるで・・・・・と居るみたい」


真星は小さな声で呟いた。最後は本当に囁くよりも小さな声で聞き取ることが出来なかった。

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