《MUMEI》

カオリは花子に脇を支えられながら、ホテルの2階にある長い廊下を歩いてゆく――……



「ぁ…ありがとう…花沢さん…もう…大丈夫だから…。

あとは…一人で行けるゎ……」


もう堪忍してと言わんばかりに花子を遠避けようとするが――…


…花子がそれを許すはずも無かった。


「なに水臭いこと言ってんのよ――…私たちクラスメートじゃない…(笑)

それにアナタ一人の身体じゃないのよ…」



優しげな言葉と裏腹に、花子の目は笑っていなかった。

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