《MUMEI》
高知県
ダム沿いを走ると川が見える。
その川に沿って上って行くと標識の矢印が『高知県』となっている。
「ここから高知県に抜けるのか?」
この道は四国の真ん中を通る型で抜けている。
この峠は道も広くバイクで走るのに最高だ。
幾つかトンネルを抜けると、段々と寒くなって来た。
また、トンネルが見える。
『寒風山トンネル』
と書いてある。
トンネルの中は、まるで冷蔵庫の様だ。
体が震えてくる。
しかも、山から染み出たのか、路面が濡れている。
おまけに、かなり長く走っても出口が見えない。
俺はたまらず、アッパーカウルに身を伏せ風を避ける。すると、サイドカウルの間からエンジンの熱が上がってくる。
「あったかい。」
冷えた体を温めてくれるこのバイクが頼もしく思った。
長いトンネルを抜けると道の駅『木の香』の看板が見えた。
のり君はそこにバイクを乗り入れた。

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