《MUMEI》
育み
高校生活に慣れた頃、千尋は兄と大和の人気ぶりを知った。部活に勤しむ聡と大和を、窓から美紀と眺めていた。
「ほらほら、あの二人目当てにあんなに女子がいるよ。どうよ、妹としては?」
「えー、物好きもいるんだねー」
「何言ってんの。いつも一緒に学校来てるくせに」
「そっ、それは…お兄ちゃんが大和くんに私を会わせるためで…」
「いーじゃん、あんだけ人気者でモテて頭も良くて運動もできて。言うことナシじゃん」
「…だって」
「相変わらず奥手だねえ」
美紀はまるで母親のようにため息をついた。
「実際どうなの?大和くん。好きじゃないの?」
「よく…わかんない」
その時大和が千尋のいる窓に目を向けた。
「ちひろー!!帰りデートしよーや!」
思わず美紀の後ろに隠れる。顔は真っ赤だ。それを見た美紀が
「いーですよー」
と応えた。
「ちょっ、ちょっと美紀。何で返事しちゃうの?」
「私が聡さんと歩きたかったからー」
美紀が応えたせいで群がってた女子達がざわついている。
「ほら、あんなことになっちゃったじゃない」
焦る千尋に、美紀はまるでおもしろがっている。顔を真っ赤にした千尋はカーテンの陰に隠れた。
「ありゃ?隠れちゃった。」
それを聞いた聡は
「当たり前だろ。場所選べよ」
「なあ、俺千尋と付き合ったらダメ?」
「どーぞって言ったろ。でもあいつの引っ込み思案は格別だぞ。」
「俺、千尋好きなんだよな。初めて見た時から。」
「そんなこと本人に言え。千尋ー帰る用意しとけよー」
千尋はカーテンの陰から半分顔を出して頷いた。
帰り道、大和はご機嫌だった。ついでに美紀もご機嫌だった。
「なー千尋、メアド教えてよ。」
「あっ!聡さん、私も教えて下さい!」
聡はあっさり
「いいよ」
と、美紀にアドレスを教えた。
「ねえダメ?お願いっ」
千尋は困った顔で聡を見たが、聡はニコニコしてるだけだ。
「じゃ…じゃあ…」
「いいの?やったあ」
千尋はアドレスを大和に教えた。
「今晩メールするからなー」
千尋の顔は真っ赤なままだった。

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