《MUMEI》 「気にしなくても大丈夫だよ。スーツケース1つくらい、すぐ支度できるから」 え? 「それだけで行くの?」 「そうだよ」 スーツケース1つだけ!? 「足りるの?」 「足りなければ現地で買えばいいから…なるべく身軽で行きたいんだ」 そうなんだ… 「じゃぁ…この部屋は?」 「このままだよ」 このまま…この部屋も私も取り残されるんだ… 次いつ会えるか分からないなんて…寂しい。でも… 「私、待ってるから…」 「ありがとう。ちゃんと、あっちから電話するから」 電話だけの遠距離恋愛。 やっと気づいたのに… 私はまた佐久間さんに抱きついて、ワンワンと泣きじゃくった。 そんな私を佐久間さんは黙って抱いてくれた。 前へ |次へ |
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