《MUMEI》

リビングには二人のマダムが残された――…。


サザエは落ち着き払った様子で、紅茶のカップを口に運ぶ…。



「まぁ、IT企業社長ともなると、色んな雌猫がたかってしまうのも当然だわねぇ…」


「そぉなんですよぉ…」


花子はタラオの聞耳を気にしてか、幾分か落ち着きを取り戻した様子で相槌をうつ…。


そんな花子の表情を観察しながら、サザエは小声で問いかけた…。


「なにかカツオが浮気してるってゆー確証はあるの?」


「いーえ…まだ何も――…」

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