《MUMEI》 通常。 1対1を仕掛けるのは、センター、両45という、一般的に『上』と呼ばれる選手がやることが多い。 ヤマトや翔太も1対1を仕掛けることが多い。 サイドであるクロが1対1をやっているのを見たことがない。 というユキヒロは間違っていない。 実際クロが試合中1対1を仕掛けることはなかった。 「じゃあ行くぞ。」 「いつでもどうぞ。」 椎名からパスが出される。 パスを出すと同時に、守りの姿勢に。 (低い姿勢は悪くないけど、ハンズアップが出来てない。) ロングシュートを打つのは簡単だけど、1on1でロングシュートなんてつまんないし、相手が村木となると、僕のロングシュートじゃ難しい。 突破だ。 ヤマのような力で行く突破はできない。 だから僕は、完璧に、 相手の裏をかく。 ハンドボールはボールを持って3歩まで歩くことができる。 3歩と言っても、最初の1歩は『0』と数えられる。 つまり、『0、1、2、3』と数える。 よって実質的には4歩歩けるのだ。 ディフェンスの足の向きから、どっちに誘っているのかだいたいわかる。 あえて誘われる。 が、そこから逆へ。 行くと見せかけ、ここで、ワンドリ、そこから抜く。 これをスピードを乗せて行う。 綺麗に、抜く。 そしてシュート。 問題は村木だ。 でも、大した問題でもない。 6メートルラインギリギリからのシュートなら、ポストシュートと変わらない。 シューターが有利だ。 サイドから打つシュートよりも、コースが多い。 余裕で、シュートが決まる。 「…」 「さて、じゃあ椎名の番だね。」 (こいつ…) 前へ |次へ |
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