《MUMEI》

椎名はセンタープレイヤーだが、ロングシュートはない。

身長が低いからな。

突破。

だろうな。

パスを出す、と、同時に前へ。

一度止まる椎名。

一度止まる。

これが致命的。

チェンジオブペースでもなく、ディフェンスにビビってただ足を止めてしまっては、抜けない。

ガッチリ掴む。

僕は力のある選手じゃないけど、小柄な椎名なら一度捕まえてしまえば抜かれない。

「僕の勝ちだね。」

「…」

何も言わね〜のかよ。

まぁ悔しがってろ。

「他にやりたい人は?」

「…」

「じゃあ練習始めたいんだけどいい?」

「…はい。」

体育館。
通常とは別の入り口から、翔太が見ていた。

「翔太さん?」

「ユキヒロさ。クロさんのこと舐めてんだろ。」

「いや…別に。」

「お前が入部したばっかの時は、あの人点取る選手じゃなかったしな。」

「…」

「あんま勘違いすんなよ。」

「翔太!!おせ〜よ!!」

「すいません!!」

「早く早く〜。」

(どこまでマジなんだこの人たちは。)

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