《MUMEI》 《やめようと、思うんだ》 「私なら、大丈夫よ?」 (俊彦の為なら頑張れる) そう思った。 なのに… 《終わりにしよう、もう…》 ガシャンッ … 《蝶子、蝶子?》 落とした携帯から、俊彦の声が聞こえた。 (良かった、壊れてない) 私の頭は変な事に感心していた。 そして… ピッ 私はそのまま携帯を切った。 『リハビリやめよう』 『終わりにしよう』 携帯が壊れていないなら、俊彦の言葉も嘘では無い。 「あら? 蝶子?」 夕食を終えた咲子さんが、ホールに立ち尽くす私を発見した。 そして、私は… 『今日は、出かけないから、お店を手伝います』と言った。 咲子さんは、雪のせいだと思い、納得した。 私は、突然の出来事に、涙も出なかった。 わかるのは、今日も来週も再来週も、私の予定は何も無くて 俊彦に… 嫌われた ということだった。 前へ |次へ |
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