《MUMEI》 後押し『クローバー』は夜の営業を始めたが、雪の為、お客は常連の二人しかいなかった。 「「馬鹿?」」 そして、私は、その二人に… 孝太と麗子さんに、説教されていた。 最初は、私が珍しくいるので、『一緒に飲もう』と呼ばれ、陽気な二人に付き合っていたのだが… 私の話を聞いた途端に、二人は説教モードに入ってしまった。 「で、でも…」 「ちゃんと、確認してないのに、何で不幸ぶってるの! 本当の失恋の痛みは、そんなもんじゃないわよ…ヒックッ…」 麗子さんは孝太に、おちょこを向けた。 孝太はそこに、熱燗を注ぎ、自分も手酌で同じ物を注いでから、一気に飲み干した。 フーッとため息をついてから、私を睨む。 「全く、お前ラはぁ〜、また昔と同じ間違いをするつもりラのか〜?」 孝太の言葉に、麗子さんは『そうよ、そうよ』と言った。 「私も、そう思うわよ」 「咲子さん…」 咲子さんは、カウンター越しに私を見下ろしながら、やっぱり二人と同じように呆れた様子だった。 「でも…」 私は、確認するのが怖かった。 それに、俊彦からは、あれから何の連絡も無かった。 「積もって来たな」 前へ |次へ |
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