《MUMEI》 そして、思わず『とにかく中へ!』と言って… 『シューズクラブ』の事務所に入り、扉を閉めた。 「蝶子…」 「仕方ないでしょ!、こんな、冷たい体してるんだから…」 私は思わず俊彦の手を握りしめた。 「それって…」 「話!」 私は俊彦の言葉を遮り、説明を求めた。 すると、俊彦は、ギュッと私を抱き締めた。 俊彦の凍えた体は、僅かに震えていた。 「話、…は?」 突き放すのも可哀想な気持ちがして、私はそのままの状態で、もう一度問いかけた。 「ちゃんと、言ったよ。 … 『もう、大丈夫みたいだから』って」 それは、私が携帯を落として、聞き逃した言葉だった。 「…どういう意味?」 私はまだ、太ももに触れられると、体が動かなくなるのに。 「本当に、覚えてないんだね」 私の肩に顎を乗せてよりかかっていた俊彦は、私から離れ、苦笑していた。 「ちゃんと証拠残したのに。…いっぱい、愛してあげたのに」 俊彦の言葉に私は真っ赤になった。 「じゃ、じゃあ、あれってやっぱり?」 「俺の体にも山ほど付けたでしょ、キスマーク。 だから、お返し、…というか仕返しした」 前へ |次へ |
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