《MUMEI》

◇◆◇

「咲弥、ちょっといいか?」

 ひょっこりと顔を出した黒蝶に些か驚きつつも、咲弥は、うん、と答える。

「その‥書を教えてくれねぇかな。咲弥がいつも書いてるやつをさ」

 え、と声を洩らしつつ、咲弥は目を見開いた。

「わたしが‥‥黒蝶に?」

 すると黒蝶は苦笑混じりに笑う。

「いやさ、あたし‥ずっとそんなの必要ないって思ってたもんだから。でもさ、文字が書けないと‥何かと不便だろ?」

 それはそうだ、と咲弥は思う。

 何故黒蝶が書を覚えたいと思うようになったのかは分からなかったが、咲弥は敢えて聞きはしなかった。

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