《MUMEI》
木犀 (もくせい)
◇◆◇

 枝先に咲く、金の花、銀の花。

 涼しい風が、その色を揺らす。

 ふわり、と匂いが広がり、辺りに満ちる。

 それぞれに咲いた二色の花びらは、秋の庭に煌びやかな彩りを添えている。

 この頃になると少しづつ昼間が短くなってゆくのだが、殊に夕暮れの風情は何にも増して趣がある。

「咲弥、どうした?」

「夕陽を見てたの。夕暮れは秋が一番綺麗だから」

 蜉蝣や烏が、影の色を纏い茜の空を舞う。

◇◆◇

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