《MUMEI》

深い眠りの中、ふと何かの電子音で目覚めた。
「何やろう?」
ボケた頭で考える。
「あっ、携帯か?」
ガサガサとポケットを弄る。
「あれ?あれあれ?」見当たらない。

「どこにやったんやろう」
部屋中を見渡すとバッグが目に留まった。
バッグを開けると携帯のランプが点滅していた。
俺は昨日エリカにメールしてから携帯の存在を忘れていたのだ。
携帯を開くとメールが6件届いていた。
確認すると

素晴らしい出逢い…
あぁ、鬱陶しい

兄貴
『仕事決まったか?』
大きなお世話だ。

友達
『バイク来た?来たら見せてくれよ。走りに行こうぜ』
そう言えば連絡してなかった…

エリカ@
『えっ!?四国?何で?八十八箇所巡りするの?て言うか、独りだけズルーイ、私も食べたい』
何でって成り行きで何となく。

エリカA
『塩ラーメン美味しかった?次は私も連れてってね』
あぁ、美味かったなぁ。

エリカB
『何で無視なん?返事くれんと心配やん』
ごめん、携帯忘れとったし…

俺は返事をせず呟いた。

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