《MUMEI》

私は、言われた通り、ジーンズを脱いだ。


「蝶子は本当にピンクが好きだね。

来年は、ピンクの水着買ってあげるよ」


俊彦が言うように、私は今日は上下共にピンクの下着だった。


「それより、これからどうするの?」


「うん、まずは」


「キャッ!」


私は俊彦に強引に抱き寄せられた。


「そうそう、こういう嫌がる感じ。

それで…今は、何も無いけど…」


「ンッ…」


俊彦は息もできなくなる位、唇を強く重ねてきた。


(く、苦しい!)


後頭部を押さえられ、身動きの取れない私は俊彦の背中を叩いた。


「フゥッ…この位、重ねてたかな?」


俊彦も、息が苦しかったらしく、唇が離れた途端にお互い深呼吸を繰り返した。

「…っ…で?」


「蝶子が、キスしてきたんだ。
…ものすごいやつ」


「うっ…」


「嘘じゃないよ。はい、…やって」


俊彦が目を閉じて、軽く口を開けた。


(キス位なら、本当にしたかもしれないし…)


私は、そっと、俊彦の唇に自分の唇を重ねた。


チュッと軽く音がした。


「…もっと」


俊彦は、そのままの姿勢で私を待っていた。


私は再び唇を重ねた。

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