《MUMEI》 「システムダウンっ? どういうことだっ!?」 ありえないとばかりに男はうろたえる。 その、スーパーコンピュータは本来、存在してはならないものであった。 「わかりません、突然……。」 一方で起動しなくなったシステムに、必死にキーボードを叩きながら部下である女は応える。 「ウイルスの可能性は!?」 「チキショウやられた」 「なんだ?いったいなにが起こったんだ」 「解析、急げ!」 普段なら、カリカリとコンピューターの動く音のみ聞こえるはずのこの場所に、どういうわけか研究員たちの怒声が響く。 本来なら温和な性格に定評がある男も、目の前の惨状を前にしてイライラとしながら叫び声を上げ、なんとか気持ちを落ち着かせようとしていた。 「このコンピュータとデータが他に渡れば、この国は滅びるんだぞ?」 ここで扱われるものは、政府公認の兵器のデータ。 もちろん、この国に兵器があってはいけない。 「今、解析中です!」 「三班!! どうだ!?」 「ダメです!! サーバーが落ちましッ? 停電!」 ただでさえ薄暗い部屋が真っ暗な空間へと変貌する。 前へ |次へ |
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