《MUMEI》




―勿論、女の家を追い出された。




ベッドに寝転びながら考える。



――もう頭の中は…いや、下半身が佐伯の事でいっぱいいっぱいだ。


元々ちょっと可愛い奴だなあとは思っていた。


――でもそれだけだった。


俺はガバッと起き上がりチェストの中をガサガサと探した。


――5月にあった遠足の写真。

高校生にもなって遠足なんて…と皆ブーイングだったくせにいざ行くと皆異常にはしゃいでいた。


――中には男同士でカップルまで出来上がる有り様だった…。


――あった。



担任の長谷川が写真とりまくってそれぞれに写っている写真くれた。




――佐伯…

俺の後ろにうんとちっちゃく写る佐伯。
しかも横顔で日高って奴の事を見ている。

…………。

――――。




―――。




!!!!!!





こんなんじゃ!

ぬ け な い !




抜けね―――――――――――っつ!!!







早朝、俺は学校に行った。


―――そして土曜日

部活に励む連中以外、好き好んで登校する奴はまずいない土曜日だ。

ガラガラ!!


「失礼します!」




俺は職員室いっぱい響き渡るデかい、はっきりした口調でそう言うと真っ直ぐ長谷川の元に向かった。



「――あれ?長沢?――君は帰宅部じゃなかったんじゃ……」



長谷川は少しびっくりした様子で俺を見上げている。




「――先生、今日はお願いがあって来ました」
「――――お願い?」




俺の余りにも真剣な様子に圧されたのか無人の教室に場所を移された。




そして俺は寝ずに考えた事を至極真剣に長谷川に語った。






「――そんな事があっただなんて…、うちのクラスの中でいじめだなんて……」




長谷川はショックを隠しきれずに白い肌を更に青くした。

「――でもまだ悪戯程度なんです!
だから今から頑張れば簡単に解決出来ると思うんです!
――本当は先生が入って下されば話が早いとは思うんですけど、多分いじめる方もいじめられる側も大袈裟にしたくないと思うんです。
――だから学級委員長の僕が必ず解決してみせます!先生!





僕にクラスの住所録を貸して下さい!!!」

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫