《MUMEI》

「ちょっと止まって。」


ランニングを途中で辞めさせる。


息切れしながら聞いてくる。


「なんすか?」


「一番後ろ前までダッシュ。これを継続させて。」


「この人数で!?」


だから口の聞き方。


「そう。はい走って〜。」


「…」


文句言いたいんだろうね。
でもいいからやれよ。


インディアンランニング。


一列で走る最後尾が一番前までダッシュ。


人数が少ない程回転率は早く、ダッシュの回数が増える。


簡単に言うとキツいってこと。


「声〜。」


キツい練習になるとすぐ忘れる。


悪い癖だね。


「赤高〜!!」


さっきよりキレ気味だ。


むしろ笑えてくる。


「ラスト10周!!全員ダッシュ!!」


必死だ。


「スピード上がっても、最後尾前までダッシュだ!!」


妥協はしない。


「ホラ声!!」


「…!!」


無視だ!!
必死だこいつら!!
ウケる!!

「はい。終わり〜。準備体操して〜。」


ぜ〜ぜ〜言いながら話しかけてきた。


「あの…休憩は…?」


「何言ってんの?ボケ?アップの後に休憩するわけないじゃん。早く準備体操。」

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