《MUMEI》

彼女は「こんにちは」と笑顔で声を掛けてきた。

俺も「こんにちは」と笑顔?で答えた。

小柄でロングヘアーの可愛らしい子だった。
ジュースを片手に、汗と洗車で濡れた手足を拭きながら「今日も暑いですね」
と話し掛けてくる。
なぜか俺は緊張していた。

「あっ、うん」
少し照れながら答えた。

彼女は、俺のヘルメットの後ろに貼ってある「犬」のステッカーを見て「これカワイイ〜」
と微笑んだ。
俺は心の中で「あんたの方が可愛いよ」と呟いた。

ジュースを飲み干した彼女は「気を付けて走って下さいね」そう言って帰っていった。

俺は金縛りにあったように暫く動けなかった。

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