《MUMEI》
一目惚れ?
ふと、我に返り家の方を見ると『ズーマー』の姿しかなかった。

俺は愛車に跨り峠をを攻め続けていた。
頭にはさっきの女の子がチラつき、リズムが狂っていたのか、立ち上がりでアウト側の砂地に乗ってしまい、そのまま転倒してしまった。

幸い立ち上がりでリアから滑った為、俺も愛車も道路を滑っただけで、どこにもぶつからずに済んだ。
メッシユジャケットにジーンズだったので膝からすねはズリズリだが、上はパットのおかげで関節部以外の軽い擦り傷で済んだ。

足を引きずりながら愛車に近寄ると、まだエンジンが掛かったままタイヤが空転していた。
「ごめんなぁ、痛かったやろ」そう言いながらキルスイッチを押し、バイクを起こし、路側帯に入った。

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