《MUMEI》

俺は次の休みに、クッキーの詰め合わせを持って、車で峠に向かった。

運良く彼女が家の前に居れば有り難いが…
そう、上手くいく訳がない。
海辺に車を停めて、彼女の家の前に行く。
チャイムの前で、心の準備をしていると、車が止まった。

若い女の子が降りてきた。
「何かご用でしょうか?」

「この家の方ですか?」

「はい、そうですが?」

「こちらに二十歳位の女の子がいると思うんですが?」

「はい、妹がおりますが…」

お姉さん?言われてみれば似ている。が、可愛い妹に対し綺麗な人だった。

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