《MUMEI》
飾り付け
よく寝たせいか、翌日は、体力は回復していた。


…相変わらず、普段使わない筋肉が痛んではいたが、それは仕方ないと諦めた。

(あ、そうか…)


日付を確認しようとした私は、壁に貼ってあるカレンダーを一枚破った。


初めてこの部屋に案内された時、十枚だったカレンダーは、最後の一枚になった。


今日から、十二月なのだと、しみじみ思いながら、私は着替えて階段を下りていった。


(あれ?)


そこには、朝食を済ませ、新聞を読んでいる衛さんしかいなかった。


「おはよう」


「…おはようございます」

「咲子なら、子供達と下にいるよ」


「下、ですか?」


私の質問に、衛さんは頷いた。


そして、『クローバー』に行こうとする私に朝食を勧め、『寝癖は直した方がいいよ』と言って、笑った。

私は赤くなりながら、その言葉に従った。


それから、もしかしたらこれからすぐに仕事が始まるかもしれないと…一応、軽くメイクもした。


「珍しいね」


「そう…ですか?」


「何かあった?」


「いえ、じゃあ…行きます」


私は、その日から、『無理に』すっぴんでいる事をやめただけだった。


もう、必要無いから

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