《MUMEI》
――先生は俺の手を握りしめ
「有り難う!」
と泣きじゃくりながら言った。
「――当然の事をするまでです」
俺は極上の笑みを浮かべそう言った。
――個人情報保護法案。
――例え同じクラスとて仲良くならなければ何処に住んでいるのか全く分からない…
――歪んだ現代社会。
俺は佐伯の住所を見る。
―――学校の近くだ!
学校から一番近いコンビニで帰宅部である筈の佐伯を7時頃に見かけた訳も理解出来た。
あと、(佐伯せい)って名前かと思っていたが
(ひじり)と小さくふりがながふってあった。
――ひじり…
―――ひじりちゃんだったのか――――――。
俺は真っ直ぐに住所を元に聖の家を探した。
――バッグの中にカメラは仕込んである。
俺はオナニーに使う写真をゲットするべく―――――
そして、住所の場所の家を見つけた。
「―――ここって…―――――マジ?」
その住所の場所はあのコンビニだった!!
――いや、スゲーんですけど!!
―――そう。
コンビニは別にして、その建物の二階以降は住宅になっていて……
俺はコンビニの裏の駐車場にまわり、門の表札を見た。
――やはり確かに――――(佐伯)と書いてある。
――間違いない……
そびえ立つ建物は無駄に大きく…しかも5階建。
門の中には名も知らない高級そうな犬が繋がれていて、その奥にデッかい玄関扉、その脇にはベンツが二台も停まっている。
――金持ちの道楽でついでにコンビニ経営?
――いや、それとも意外と儲かるのか?
俺も高校生の分際でマンションに一人で住んではいるが元々は結婚している姉夫婦のマンションだ。
転勤でニューヨークに行っている今現在、少しの間だけ一人暮らしになっているだけだったりする。
俺は、将来東京大学に進学したいからと、今から東京で勉強したいと親と姉に頼み込みはるばる長野から出てきた。
―――まあそれは本当なんだけど……
――――――佐伯…
俺はウロウロしながら暫く外にいたが佐伯は姿をあらわさなかった。
―――そして
・
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ
携帯小説の
(C)無銘文庫