《MUMEI》

「ヘアメイクは任せて」


麗子さんが手を上げた。


「仕方ない、ブーケ作るよ」


春樹さんはため息をつきながら言った。


「シャンパン位は用意してやる」


克也さんは、やっと口を開いた。


こういうチームワークはさすがだと思った。


「…じゃあ、年末年始が過ぎたらで、いい?」


「「はい」」


こうして


『クローバー』の来年一番の予約が入った。


(ん? 一番?)


私は、俊彦に質問した。


「和馬の誕生日イベントは?」


ーと。


すると、俊彦は、『今日まで必死に働いたから、明日から年始まで休むから』と答えた。


「随分、長いのね」


お盆も営業していただけに、俊彦の答えは意外だった。


「俺と和馬が大事な用事があるから」


俊彦はそう言って笑った。

その用事を知るのは、もう少し後になってからだった。


それから、皆は『次は誰が結婚するか』で盛り上がっていた。


交際期間の長さでは、春樹さんと瞳さんだが、二人と、あと、克也さんと薫子さんにはある共通の問題があった。


それは、瞳さんと薫子さんが一人娘であるという事だった。


実は春樹さんには姉が克也さんには兄がいる

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