《MUMEI》 出発クリスマスから三日後。 『クローバー』は年末年始休みに入り、工藤一家はスキーへ出かけた。 私は、駅の待合室で、『他の三人』を待っていた。 先に現れたのは、琴子と和馬の二人だった。 「「変じゃない?」」 二人は私に服装の確認を求めた。 「変じゃないけど…私が一緒に行く方が、おかしくない?」 私の質問に、二人は『おかしくない!』と同時に答えた。 (そうかな〜?) 二人はこれから和馬の実家に行くのだが、何故か私は付き添いを頼まれてしまい、正直戸惑っていた。 「お待たせ〜」 「そして、お前は必要無い!」 遅れてやってきた俊彦に和馬が言うと、琴子も頷いた。 「酷いな、俺達、二人で一つなんだよ。 それに、俺達も、挨拶あるし」 私の肩を抱く俊彦が言うように、俊彦は、父と華江さんに挨拶に行く。 いわゆる 『娘さんを下さい』という、挨拶に。 そのため、俊彦はこの三日間を、父の説得に費やしていた。 私の父は、俊彦の事は昔から知っているが、… 私を溺愛していたから。 「…それより、孝太はいいの?」 私はこの場に孝太がいない事が気になっていた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |