《MUMEI》

事故から約、1ヶ月後
夏も終わり、秋になっていた。

完治した俺はパワーアップした(?)愛車で、例の峠を走っていた。
長く乗ってなかったので始めは軽く流した。峠をゆっくり走るのも悪くない。

今まではツーリング等、行く事なく、峠ばかり走っていた。

バイク仲間は良く行ってるので、大型に乗り換える者もいた。
大型になると自然に峠からも遠退いて行った。

「俺も峠卒業かな、年だし…」


秋も終わり、冬が来ると、愛車も長い眠りにつく。
俺は寒がりなので冬場はバイクに乗る事はない。
実家の屋内ガレージでカバーを掛け、春を待つ。

俺が峠に行く事はなくなっていた。


もちろん、彼女に会う事もなく…


そして、記憶の片隅で消えかかっていた。

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