《MUMEI》
訪問
『会おうぜ。断るなら、流理には二度会うな。できないと思うか?簡単だよ。純粋なアンタにはわかんねぇだろうけどな』

……こんなメールが届いて、私は心の底から震えあがった。

逆らえない。

私は支度をしながらも、ずっとびくびくしていた。

「入れよ。待ってたぜ?」

「はいっ!」

「今日流理は仕事だから、全部吐いてもらう。ここへ来たってことは、最初からそのつもりだろ?」

相手は年下なのに、私はどうしてここまでバカにされているのかわからなかった。

でも、今回は私が悪いんだ。

私と流理さんをくっつけてくれた有理さんが怒るのはしょうがないこと。

優しいから私に強く言えない流理さんを理解して、自ら進んで悪役になってる有理さんは、私の目にはとても頼もしく映った。

全部話そう。

そう決めて来た。

「じゃ、早速。この記事の真相は?」

「この写真は、この……佐原旭さんって方にテレビ局の中について聞かれた時の写真です。私とこの人、この後すぐに別の方向に向かったはずなのに……」

「いいように使われたって訳か。こいつら暇な人間ばっかだからな」

「でもどうして私がターゲットにされたんですか!?」

「アンタは時の人だからだよ。春日有希は誰にも振り向かないことで有名。なのにその時は無名のアンタとの噂で一躍アンタの名前は世に広まり、日本中の女達を敵にまわした。いいターゲットなんだよ」

「……………」

知らなかった。

ううん……知ってたけど、マネージャーとか事務所のみんなが隠すから、私も知らないフリしてた。

でも何故か今回のことはかばってくれなかった。

「アンタんとこの事務所、なんで今回の記事は金でなかったことにしなかったか――…。オレは多分だけど、春日有希との噂より佐原旭との噂の方がアンタがあの世界で平和に働ける、って思ったからじゃないかと思ってる」

「平和に働ける?」

「その記事見ろよ。『超人気国民的アイドル・春日有希』って書いてあんだろ。春日有希のファンは熱狂的なのが多い。……生きていけないぜ?」

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