《MUMEI》 私が首を傾げると、明日馬さんと和馬は『だって!』と口を揃えた。 そして、二人は自分の言い分を同時に私に訴え始めた。 「一人ずつにして下さい!」 私は、とりあえず明日馬さんの言い分を聞いた。 明日馬さんは、『二人の結婚式を一年後にしてほしい』と言った。 和馬は、『今すぐにでもやる』と言った。 更に、和馬は『井上家の婿になる』と言い、明日馬さんは反対した。 私は、明日馬さんの言い分も、和馬の言い分も理解できた。 (琴子も…わかってるんじゃないかな?) 確認すると、琴子は『そうなの』と同意した後 「でも、うまく説明できない」 と、私を見つめた。 (琴子、口下手だものね…) 私は、こういう時の為に呼ばれたのだと、理解し、ため息をついた。 そして、興奮状態の明日馬さんと和馬に説明を始めた。 明日馬さんが『一年後』にこだわるのは、仕事が忙しい宗方家が休みを揃えるのに、その位の時間がかかるからで… 「和馬の結婚式に、家族揃って出席したいからですよね?」 「まぁ…こんな馬鹿でも息子だからな」 明日馬さんは、少し照れながら、頷いた。 「…ちなみに、入籍は?」 前へ |次へ |
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