《MUMEI》

「それは、いつでも…しかし、婿はダメだ!」


「何だと!」


「「和馬!」」


琴子一人では止められ無かったので、黙って見ていた俊彦が止めに入った。


「蝶子に任せろ」


(いや、それは、ちょっと…)


和馬の言い分を説明して、明日馬さんがわかってくれるかは、微妙だった。


「…どうぞ」


明日馬さんに促されて、私は説明した。


琴子の兄の孝太は、一人っ子で、しかも自営業の家の一人娘と親密な関係にあった。


「二人は、結婚するのかね?」


「いえ、それは…」


孝太と、最近いい感じな麗子さんが結婚までたどり着くかは微妙だった。


「します、きっと」


私が答えに迷っていると、琴子がはっきりした口調で言った。


「そうだ! だから、俺は、孝太が、友達が婿に行ってもいいように、婿に行く!
おじさんとおばさんは、俺に昔からよくしてくれたから、年とったら、田舎に呼んで、一緒に暮らして面倒みる!」


「実の親はいいのか…」


「兄貴がいるだろ!もう、嫁さんだっているだろ!」

「…」


明日馬さんは、悲しそうな顔をした。


「婿に行っても、親子じゃなくなるわけじゃないと思いますよ」

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