《MUMEI》

結局、俊彦が綺麗に食べられたのは、カニのクリームスープと口直しのキウイシャーベットと、デザートのケーキと…


フランスパンだけだった。

「疲れた〜!」


「お疲れさま。…でも、明日はもっと大変よ」


部屋に戻った途端にベットに寝転んだ俊彦を見つめて、私は言った。


「そうだよな…」


「だから、今日は早めに休んだ方が…」


「それは、ダメ」


俊彦がガバッと起き上がった。


「俺に、勇気と…愛を、頂戴」


俊彦は、立っている私の腰にしがみついた。


「シワになっちゃう」


明日馬さんは、今日着ていた衣装を気前よくプレゼントしてくれた。


「じゃあ、…脱げばいい」

俊彦は私を抱き締めて、ファスナーを下ろした。


そして、両肩を撫でるように優しく…私のワンピースを脱がせた。


「…ここ、和馬の…ッ」


「防音完璧だって教わった。
あの二人だって、今頃ヤッてるよ」


俊彦は私のブラのホックを外した。


(あの時の…)


私は胸を隠しながら、和馬が俊彦に耳打ちしていた姿を思い浮かべた。


「…ね?」


俊彦は、着ていたスーツ脱ぎ始めた。


「だって…明日は…」

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