《MUMEI》 対決「お義父さん、娘さんを、蝶子を俺に下さい!」 「だ、だれが『お義父さん』だ! 蝶子ちゃんを呼び捨てにするんじゃない!!」 「え? 問題そこですか?」 「ツッコむな!」 「父さん…」 「だ、駄目だ、蝶子ちゃん、そんな可愛い顔をしても」 (いや、そうじゃなくて…) 私が言いたいのは… 「玄関で顔を合わせた途端に大騒ぎしないの! さっさと入りなさい!」 (良かった) 私が言いたい事を華江さんが言ってくれて、父と俊彦を中に入れてくれたので、私はホッとして、後に続いた。 「改めて、訊くけど、いつから付き合ってるの?」 「…今年の九月からです」 華江さんの質問に、俊彦は正直に答えた。 「短い!」 父が叫んだ。 「「あ、あの…」」 『でも、想い合っていた時間は、長いんです』 私達は、そう言おうとした。 「太郎さんから、二人が幼なじみで、昔から仲良しだったのは聞いてるわ」 「「じゃあ…」」 「でもね」 華江さんの表情は険しかった。 「いくら、一緒にいた時間が長くても、夫婦として暮らすには、まだまだ慎重になった方がいいわ」 「「そんな」」 前へ |次へ |
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