《MUMEI》 「それでも…やらないと、認めてくれないんですよね?」 「少なくとも、太郎さんはね」 華江さんの言葉に、父はうつ向きながら頷いた。 「じゃあ、やります」 「俊彦…」 「大丈夫だよ」 俊彦は、私に笑いかけた。 (そうかな…) 収入重視の祖母はともかく 祖父は、とにかく学歴重視な人だから、父と同じ高卒の俊彦は、きっと、嫌われてしまう。 光二おじさんは、元々私に彼氏ができるのに反対だったし… 三枝さんは、よくわからないけれど… 「大丈夫」 俊彦はそう言ったけれど、実際、もっと大変な問題が、この先私達を待っていることに この時の私達は予想していなかった。 とりあえず、予想通り… 『高卒のヤツに蝶子はやらん!』と祖父に言われ、私と俊彦は、千葉の実家にいる間、東京にある山田家を訪れる事はできなかった。 そして、年が明けー 私は、落ち込む俊彦と一緒に、帰りの快速に乗り込んだ。 前へ |次へ |
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