《MUMEI》
素直ナ性格
「流理が今、どんな気持ちか教えてやる」

環は身を乗り出した。

「流理は疑うということを知らないのかわからないけど、あの記事をそのまま信じてる」

「あれを?本当ですか?」

「アンタは流理が初めて付き合った女なんだよ。不安になる気持ち、わかんねぇのか」

「……………」

「それにアンタとは連絡も取れなくて、余計流理が悩む原因になった。一応年上だろ?考えて……」

「わ…私だって考えてます!私も……初めてなんです。男の人とお付き合いするの…。だからどうしたらいいのか、わからなかったんです!」

有理さんは、一瞬困った顔をしたが、すぐに笑顔になった。

さすがの環も、むっとした。

それも束の間。

「――…ほら見てみろ、流理。オレの言ってたこと、合ってただろ?」

――どういうこと?

リビングのドアが開いて、流理が入ってきた。

「ちょっ……流理さんは仕事だって」

「嘘に決まってんだろ。素直すぎなんだよ」

「それが環さんのいい所なんだってば」

「お前もだよ。どっちかがしっかりしてないと、いつかふたりそろって騙されるな」

「流理さん……」

「環さん、それも嘘でよかった。信じていいんですよね?」

「すみませんでした!私…本当に」

「ありがとうございます」

流理がホッとしたように笑った。

その笑顔がまた無防備で……守ってやりたくなる。

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