《MUMEI》

実家で起きた事はテレビのニュースでも報じられていた。

自分の目で新聞の記事も確認した。


実家にも、
報道で事を知った学生時代の友人が駆けつけてきた事もある。

家の前には手紙や花束が置かれた時もある。

これらの、全てが現実。


もう手放しの日常はやってはこないかもしれない。


いつか、遠方まで母の聴き込み調査を行っていた警察官が言っていた。

「誰に話しを聞いても、
アナタの母を悪く言う人は居なかった。
大変珍しい事なんだ。」

母の生き方は間違ってはいなかった。

荒れ果てた心に、力の鼓動を感じた。

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