《MUMEI》
百瀬咲良25歳。
友達の結婚式帰り…




『咲良!何してんの?二次会行くよ。早く車に乗んなよ〜。』




『…うん。』




今年で結婚式三回目かぁ…。25歳…結婚ラッシュだなぁ〜。




『ねぇ〜礼。みんな結婚しちゃったね…短大の同級生で独身なのって私達だけじゃん。』




『まぁね。でも私は婚約中だもん。咲良も早く彼氏作りなよ!もう何年いないんだっけぇ?』




“…うっ!また聞かれた。”




『えっと…たしか5年くらいかな?』




“嘘だった…。本当は彼氏なんていたことない。”




『…5年かぁ。長くない?短大の時も彼氏作ろうとしなかったし…。なんでなの?咲良。』




“何で?って聞かれても…。私が聞きたいよ…。”




『あっ!着いたよ。ここのカラオケボックスが二次会場所でしょ。』




“…ほっ。良かった。”




結婚式の後のカラオケは、いつもすごい盛り上がり。



この“ノリ”はやっぱ苦手だなぁ〜。




うっ…また知らない男の人が隣に座ってきた。




『イエーイ!元気?ねぇ君は歌わないの?』




カラオケボックスはうるさいから話し掛けてくる時、妙に距離が近い…。




“やだなぁ〜。”




『…(ニコッ)。』




“人見知りだけど、一応…愛想笑いしてみた。”




『うわっ!かわいい〜。
名前なんていうの?
君、彼氏いんの?
俺は慎吾。
ねぇ、俺とメアド交換しない?』




“この人軽いなぁ…”




『私は咲良です…。』




『咲良チャンかぁ!よしっ。俺と付き合わない?じつは、一目惚れってやつなんだよね〜。』




慎吾とかいう酒臭い男は、そう言いながら、私の太ももに手を置いた。




『ちょっと!やめてください!!』




『おっと!ごめん。ごめん。俺、酔っちゃってんだよねぇ〜。咲良チャン介抱してくれない?』




『…私、帰ります。』




幹事に、二次会の参加費二千円を渡して急いで家に帰った。




タクシーに乗ってると、礼から電話がかかってきた。



『ちょっと咲良?何で先に帰っちゃったのぉ〜?』




『…ごめん。私、明日も仕事だから…。』




『えぇ〜?いいじゃん。ちょっとくらい。戻っておいでよ!あと、慎吾クンって子が咲良のメアド教えてってしつこいんだけど教えちゃってもいい?』




『やめてよ!絶対教えないで!!』




『何でよ〜?
慎吾クンってすごくカッコいいじゃん。
咲良もフリーなんだし、メアドくらい教えてもいいんじゃない?
戻ってきてくれないなら、勝手に教えちゃうぞ〜!』



『もう!勝手にすれば?
礼がそんな奴だと思わなかった!もうっ絶交する!』




結構な大声で叫んで電話を切った…。




その夜…私はお風呂場で2時間くらい泣いた。

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