《MUMEI》

彼女は店長の姪っ子らしい。
大学に戻る前にオイル交換と点検で、ここに寄った時俺のバイクを見つけて店長に話したらしい。

峠で走るバイクを見る機会が多かった彼女は、自然とバイクが好きになり、大学を卒業して、ここで雇って貰っているらしい。

『あの個性的なズーマーに乗っているだけの事はある』

店長が俺の事を色々と話した様で、彼女は俺の事を良く覚えていたらしい。

「ろくにお礼もせずにゴメンね」

「ううん、家に来てくれたでしょ?」

「アハハ…遅かったけどねっ」

「ううん、あれだけ怪我してたからしょうがないよ」

「いやいや…よかったらお礼に何かご馳走しようか?」
ダメ元で冗談ぽく言ってみた。

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