《MUMEI》
慣れた!




「さすがに若いだけあるな、裕斗すっかり運転慣れたな」


「フフッ、俺も車買おっと!ステーションワゴンにしようかな?やっぱさ」

「ハハッ、若いし良いかもな、ヴォクシー辺り手頃だしいいんじゃないか?燃費もいいらしいしな」

「――ヴォクシーか、後で検索してみよう」


――出だしから俺の運転で京都まで上がってきた。
なんか慣れちゃうと運転楽しくって仕方がない。


秀幸のアルファード運転してたらやっぱワゴン良いなって思った。


何てったって広いのって色々と使えそうだしね。

例えばエッチとかね…ってのは冗談だけど。





俺はサービスエリアに入り今日初めての休憩に入った。

秀幸がトイレと買い出しに行っている間俺は煙草を吹かしながら電話をかけだした。




『――――はい』


「あ〜俺俺!惇ちゃん元気〜?」


『―――――――』

「――?お〜い!聞こえてるか〜!」



携帯確認するもアンテナ確り立っている。


「じゅ〜ん!うお〜い!じゅ〜ん!」



『――聞こえてるよ、何、何の用…』


―――ん?



「惇?何かあったのか?…――大丈夫か?」


――いつになく暗い声色。

もしかして久し振りにうつ出ちゃってるのかな?



―――心臓ばくばくしてきた。

もしうつなら…一人にしておけない。


『―――ぅん、――』



――やっぱ落ちてる!



「な?惇?今日真菜家に居ると思うからさ!俺今から真菜に電話すっから!な?今家か?家に居んのか?」



『――――ん、有り難う、平気…今隣に隆志いるし……』



―――――…


……はあ。




「―――そう、良かった…はあ、…安心した」




―――一気に力抜けた。



こんな遠くに居て何も助けてあげられないもどかしさから一気に解放された。



――惇にベタ惚れの隆志がついているなら安心だ。
つか俺なんかより遥かに心強いだろうし。


『な、何か用あってかけてきたんだろ?何?』


「うん、そうなんだけど……話せる状況か?」


『―――あんなあ、もう……違うから、うつで気落ちしてんじゃねーから安心しろよ、つかワリイ…心配かけて』


「――ダチなんだから悪くねーよ!つか…
まあいいか、あのさ、頼みたい事あって電話したんだけどさ、
実は今京都なんだけど昼には名古屋に入ると思うんだ、だからさ、惇の実家料亭だって聞いてたから寄らして貰えねーかと思って」



――――――



………



『――分かった、今から電話して予約無しで入れるか聞いてみるよ』



「有り難う、ゴメンな?こんな時に」

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫