《MUMEI》 ガシャン 俺の気配に気付いて乗ってた奴は離れた。 ……ざまあ。 最中に止められ行き場の無い熱を溜めているのが間抜けで爽快だ。 ふと、淫乱男と目が合った。 フェンスに指を引っ掛けて肩で息している。 口を歪ませていた。 俺を笑っているのだ。 なんかムカつく余裕。 振り向かないで段ボールを探すが、その日は猫を見付けることが出来なかった。 悔しい。 何もしてやれなかった。 俺が出来ることといえば安否を願うくらい。 俺って無力だ。 可愛がるだけじゃ、守れない。 あの時どうして小学生達に言ってやれなかったのか。 俺も小学生達と同じだったのではないか。 あの猫を殺したのかもしれない。 夢の中で俺はあの淫乱男に笑われた。 夢の俺は突っ立ったままで負けを認めたみたいで屈辱だった。 前へ |次へ |
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