《MUMEI》 「う〜ん、可愛いわね!やっぱり」 「キャッ!」 夏樹さんはギュッと私を抱き締めた。 「それにしても、いろいろ成長してるわね」 「やッ…やめて、下さい」 夏樹さんが私の胸や腰を触るので、私は慌てた。 「はい、そこまで。…入口壊されるから」 咲子さんの言葉に、夏樹さんは私から離れた。 (入口?) 私が入口を見ると… 俊彦が、扉に張り付いていた。 「ねぇ、あれ、どうする?」 瞳さんが言う『あれ』とは俊彦の事だった。 (まずい…) いくら俊彦でも、女性陣を敵に回してはいけないと思った。 「あの…」 「私から説得するわ。蝶子ちゃんは準備して」 『俊彦と話してきます』と言おうとした私を、咲子さんが遮った。 「今蝶子ちゃんが出てっいったら、俊彦君に連れ去られそうだし」 咲子さんは、私に小声で言った後、俊彦の元へ向かった。 ー数分後。 俊彦は、…あっさり帰って行った。 (すごい…) 「俊彦に、何を言ったんですか?」 私の質問に、咲子さんは笑顔で答えた。 「明日の予約の内容変更して、明後日、蝶子ちゃんに休みをあげるって言ったの」 ーと。 前へ |次へ |
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