《MUMEI》

明日の予約というのは、『俊彦の誕生日パーティー』の事だった。


「変更…ですか?」


「そう。『バレンタインパーティー』にね。
恋人同士も片想いもフリーも、皆でワイワイ騒ぎましょう、ってね。

フリーの子には、私から今日作ったチョコレートあげるの。

ていうか、毎年、半分は『バレンタインパーティー』のようなものだったし」


「でも、私は仕事ですよね?」


内容が変更になっても、料理が必要な事にはかわりなかった。


「大丈夫。チョコで買収した漫才コンビ使うから。

だから、明日はティータイム終わったら、あがっていいわよ」


「…でも」


遠慮する私に、咲子さんは『もう約束したから』と言って笑った。


「ありがとうございます」

「そのかわり、今夜は…あ!早速やった!」


咲子さんはそう言って


チョコレートにお湯を注いでいる薫子さんの元に向かった。


薫子さんは首を傾げながら、『溶かしてただけよ?』と言った。


そんな、薫子さんが作りたいケーキは


フォンダンショコラだった。


咲子さんは、マンツーマンで薫子さんの指導を始めた。


必然的に私は、他の女性陣全ての指導をすることになった

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