《MUMEI》

「…何とか」


「「大丈夫!」」


そこにいたのは、チョコレートムースに取り組む麗子さんと双子だった。


ちなみに衛さんは、今日は夜勤で、明日にならないと帰って来なかった。


三人のムースの作り方は同じだったが


麗子さんが使用しているのは、ビターチョコレート


やこちゃんが使用しているのはミルクチョコレート


せいこちゃんが使用しているのはホワイトチョコレートだった。


私が来た時には、三人はほぼ同時に出来上がったムースを冷蔵庫に冷やそうとしていた。


「あ、ちょっと待って」


私は、首を傾げる三人のチョコレートムースの違いがよりはっきりするように、仕上げをした。


麗子さんのムースには、エスプレッソソース


やこちゃんのムースには、オレンジソース


せいこちゃんのムースには、ミックスベリーソースをそれぞれ、上からかけた。

「はい、これで、本当に完成。…麗子さんのムースは、下で冷やしましょうか?」


「そうね」


私は完成したムースを持って、『クローバー』の厨房に戻った。


…厨房では、未だに咲子さんと薫子さんの作業が続いていた。


「今年もすごいわね」

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