《MUMEI》 支エその後、環は強くマスコミから叩かれた。 超人気国民的アイドル・春日有希を日本中の女子から奪った上に、二股……、なんと厚かましい女!…など、誹謗・中傷の言葉が容赦なく環さんに浴びせられた。 とても見せられないような内容のファンレターや爆発物らしき小包や、カッターの刃が仕込まれたぬいぐるみなど、様々な物が届いた。 毎日我慢している環を流理は支えた。 「オレの所にも来るよ?環さんと別れろっていう手紙とかメール」 「……いいですよ、気を遣わなくても。大丈夫ですから」 「心配です。オレ、環さんには何にもしてあげられていないんです」 「だから本当に大丈夫なんで」 「環さんが――…大切です。傷付かずに、幸せそうに笑っていて欲しいんです。だけどそんなこと無理で……。だから共有したいんです。楽しいことも、つらいことも」 環さんはまた涙腺を緩ませた。 ボロボロと涙があふれてこぼれる。 オレは慌てた。 環さんの涙には弱いんだ。 「泣かないでください。オレまで泣きたくなりますから」 「流理さんがそんな優しいこと言うから〜……」 「す、すみません!」 「どうして謝るんですか!むしろありがとうございます…」 泣き続ける環さんの目元にオレは唇を寄せた。 前へ |次へ |
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